CONCEPT

みずしまの考え②
「真の自然素材」

薬剤、機械乾燥、石油製品や
化学製品に依存する
住まいの歴史は70年。
数百年、数千年の歴史を持つ
自然素材の家に比べれば
一瞬の「あだ花」。

無垢材なら無条件に自然素材でしょうか?

無垢材なら無条件に自然素材でしょうか?

自然素材とは人工的・化学的に手を加えていない、天然の素材「天然素材」とも呼ばれています。
私は、家づくりでは最初に木材を思い浮かべます。
「真」という以上、ベニヤや集成材などではなく、無垢材です。
ですが、無垢とはいえ手が加えられているかもしれません。
例えば輸入の際、検疫で薬剤消毒されていたり。
国ごとに法律も違うのでどんな処理をされているかわかりません。
輸出国と産出国が違っているような場合、
木肌が似ていると原木が違っても同じ樹種として販売されていることもあります。
国産材であれば、山での伐採から家の柱などになるまでの
生産・流通過程を確認(トレーサビリティ)することができます。
それでもその過程で有害な薬剤が使われてないことはもちろんですが、
薬剤が使われてなければすべて良しというわけでもありません。

高温機械乾燥と自然乾燥の差異。

高温機械乾燥と自然乾燥の差異。

製材の過程で強度や精度をよくするために乾燥させるのですが、
現在ではほとんどが機械乾燥されています。
以前は天然乾燥でしたが、製品として流通するまでに5~6年かかることになりますので、
機械乾燥が主流となり、自然界にないような高温とマイクロウェーブなどの技術を駆使して
短期間で人工的に乾燥する技術が発達しました。
現在では天然乾燥材はほとんど流通していません。ちなみに私は個人の製材所に特注しています。
柱は1本の木から1本つくられます。ということは芯付きです。
乾燥するにつれ干割れや中割れを起こします。
自然な割れ自体は強度に影響しませんが、
柱を見せる工法では割れは見た目が悪いので乾燥前に芯割をします。
芯割とは丸太から角材にした際、乾燥前に1面のみ中央に中芯一歩手前まで切れ込みを入れておきます。
歴史ある京都や奈良の神社仏閣などは全てそうなっています。
芯割が目立たない柱もよく見ると綺麗に埋木がされて目立たなく仕上げてあります。
高温乾燥では、芯割をしなくても、乾燥に何年もかけなくても、
干割れや中割れを起こさずに流通させることができるようになりました。
とは言え、自然界にない高温とマイクロウェーブを駆使して、多くの電気エネルギー
や化石燃料を使って出来上がった木は「真の自然素材」でしょうか。

自然乾燥された木は健康にいい影響。

自然乾燥された木は健康にいい影響。

手間暇かけて自然の力で乾燥させて出来上がる木材と機械で一気に乾燥させる木材を比べてみると
もちろん化学物質などで処理されているわけではありませんが、
高温乾燥では木材の持つ油分や香成分はほぼ感じられません。
さらに、加工面を見てみると、いくらか木目にも滑らかさはなく、細胞は壊れているようです。
高温乾燥の工場に携わっている方のお話では、樹液が全部流れてしまいかわいそうだといいます。
乾燥ですので本来は水分(含水率)のみ減らせればいいのですが、
それ以外の成分も流れ出してしまうのはいかがなものでしょうか。
自然乾燥された木は、根も葉もなく生きているとはいえないとはいえ、
ヒノキチオール ( http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/rinsan/0009gr.html ) などの
フィトンチッド ( http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/rinsan/9811gr.html ) を発散してくれています。
そういう意味では木は生きていて住む人の健康にいい影響を与え続けてくれます。
余談ですが、日本の森林は国土の7割でその3割が植林と言われています。
戦後、今から50年以上前に荒廃した山に子孫のため、将来のために苗木を植えたのです。
今では、そのほとんどが伐採して使う時期になっています。
植林された木々が立派に育った山は、外から見れば緑豊かで美しいのですが、実際どうでしょう。
密集した大木の根元には日光が届きません。
なので、草や低木もあまり育ちませんから虫や小動物も住みにくい環境になっています。
草木の少ない植林された山では、豪雨などで立派な大木が土砂とともに崩れる現象は
テレビなどで報道されていますね。

数百年、数千年の歴史を持つ自然素材の家。

数百年、数千年の歴史を持つ自然素材の家。

他にも優れた自然素材があります。
石や土は全世界どこにでもあり、古くから家づくりに使われてきました。
ヨーロッパなどでは歴史的石造りの建物がいまだに普通に住宅としても使われています。
同じく土は焼いてレンガとして使われたり、そのまま塗り固められたりして使われてきました。
石灰石を焼成したり、火山灰からできる漆喰は有名です。
タイルなどの陶器類は土が原料です。
1830年代に発明されたプラスチックが生活に使われ始めたのは第二次世界大戦後とのことです。
それまで、家づくりは自然素材のみであったといっても過言ではありません。
石油製品や化学製品は無かったのですから、接着剤やビニールクロスもありませんでした。
現在の日本のほとんどの家づくりは、戦後のたった70年余りの歴史しかありません。
数百年、数千年の歴史を持つ自然素材の家に比べれば、一瞬の「あだ花」のようです。
一級建築士 水嶋 淳(代表取締役社長)


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