COLUMN

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家づくりコラム
2019/03/10

第6回 S氏の南北問題


 
 
「家づくりにそんなに興味はないから、建売りでいいや」
いつもそう言っていた知り合いのS氏が、注文住宅を建てたというので驚いた。
 
「どういう心境の変化?」
「実際、建売りを5つほど見てみたのだけど・・・」
どの家をみても、何かが足りなくて、どこかが余分な感じだったんだよなぁ。なんでだろ。
それで注文住宅に決めたとか。
 
とはいえ家づくりに強いこだわりがあったわけではないので、
建築士との打ち合わせでは何を聞かれても曖昧な受け答えするばかり。
だから提案された図面も、建売りとあまり変わり映えしない。
リビングは南面、バルコニーのある主寝室も南面、子ども部屋にも南面。
洗面室・浴室・キッチンなどの水回りは北面。セオリーどおりの図面。
彼は図面をじっくり見た。
 
・・・主寝室が南面なのはバルコニーで洗濯物を干すためなの?
(主寝室は洗濯物の通り道なのか)。
 
・・・息子に南面の部屋はいるのか?
(平日昼間は学校で、土日の昼はサッカークラブなんだからな)
 
図面を見ながらため息をついた。そしてあることに気づいた。
 
「間取りって、とことん『南』信仰なんだね」
明るさいっぱいの間取りがある。でも、そこに人はいない。
「で、どんな間取りに?」
「南面は『洗面室と浴室』にした。それも、たっぷりの洗濯物が干せるほど広く」
 
「南面を洗面室・浴室にするとね、」彼は満足そうに続けた。
明るくて、朝、すっきり目が覚める。朝から上機嫌さ。
北面の暗い洗面室で、青白い蛍光灯に照らされて眠い目をこすっていたこれまでの自分って何だったのか。
子どもも早起きになった。2ボウルの洗面台に並んで歯を磨きながら、会話も弾む。
洗濯物もよく乾き、共働きの妻も喜んでいる。
 
「なかでも、明るい昼間のおフロは、もう、幸せ以外ないね」
家づくりに無関心なはずだった彼は、住まいの南北問題をみごとに解決してしまっていた。

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